mimoza note

八丈島に住む刺繍作家Mimoza SHOJIのブログ。

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やっぱりあの人の分析はすごかった!

最近、また教育関連の勉強をしています。

今後どういう仕事をしようとも、ライフワークとして勉強し続けたい分野です。

 

その中でハッとする良書を見つけたので書きました。

基本的に私は「すごーく良いな」と思った本のことしか書きません(時間のムダだから)。かつ、本もそんなに買いません。たいてい図書館で借りて読みます。でも、すごく良い!と思った本は後からも読みたいので買います。こちらの本も、買いだなと思った本の一つです。

 

 

 

 


こちらは、有名な絵本作家の五味太郎さんの本です。

タイトルからして「ん?」という感じ。でも五味太郎さんは“勉強”はしなかったのだそう。彼がしたのは【学習】です。“勉強”は強制されて学校とかでやるやつで、【学習】は自分が調べたい・やりたいと思ったことを自分で勝手に調べたりやってみたりすること。(ちなみに中国語では「勉強」って「無理をして頑張る」って意味らしいです)

 

内容

内海陽子さんとの対話形式で書いてあり、非常に読みやすいです。文字も大きめ、と言うかシンプルで的確にまとまってるからでしょうね。

 学校制度の問題点とか矛盾、子どもの感覚などについて、五味さんが「実際はこうだよね」と分析・指摘している内容。その言い方が非常に的を射ているというか秀逸なんです。

 

 

たとえば学校のお勉強について。

試験に出るから憶えるということのビックリさ。蛇は爬虫類で蛙は両生類で、バッハは近代音楽の父で〜十七条の憲法は聖徳太子で五箇条の御誓文は明治天皇で…僕たちは一体、なにをしていたんだろうか。

 

こういう気持ちって、私も中学生くらいの時は持っていた。けれど大人になった途端「知っといた方がいいよ」って立場になる。けど実際、割とどうでも良いことなんですよね。

 

 

 

こういう“一般教養”みたいなものに関しては、

この世の中に「一般教養」という不思議な言葉がありますが、これ、ごまかしの言葉の代表ね。一般人として知っておいた方が良い知識というのがなぜか設定されたのです。この範囲がまた、広いんですね。一般教養というのを身につけるだけで、だいたい人生終わっちゃうのですよ、ほんとに。

 

はぁ〜耳が痛い痛い(笑)

 


 

 

早期教育や習い事への指摘 

子どもの英会話教室とかへの指摘がまた面白い。

面白いのはそういう所に子供を通わせる親の共通した言い分です。決して強制してるんじゃありません、子どもが楽しんで通ってるんです、というやつ。ほとんどの親がそう言います。塾の方も異様に楽しげな雰囲気を出します。実にあやしい空間だよ。

 

ははは。ほんとにそうかもしれない。本当のコミュニケーションではないんだよね。否定はしないけど“英会話ごっこ”だなって思います。

 

 

 

 

また、「知識をつける楽しみというのがあるんじゃないでしょうか」って質問に、

お遍路の楽しみに近いかもね。ひとつひとつクリアして、スタンプ帳つくっていくみたいなさ。否定はしないけど、なんか幻想のような気がする。

 

この台詞も好きだなぁ。私もそういう勉強が苦手じゃないから当てはまるんですけどね。でも、コツコツ勉強すること自体が楽しいというか目的になってて、中身が内容な感じもわかる。お遍路の楽しみっていうのはウマい表現だよね。

 

 

 

人との関係は図式じゃない…

あと、私自身ちょっと気をつけたいなと思うのは、

幼時の頃から、たとえば心の問題でさえ、図式で伝えられる機会が多いんだからね。

どういうことかというと、

例えばやさしさとか、仲良しとかさ。誰かに何かしてあげる、してもらう、ありがとうみたいな。あるいはお友達とケンカするけど仲直りしてよかったね。こんなのばっかりだよね。ひとりぼっちは悲しいです、みんなでいると楽しいです。

心というものをまさにハウツーで考えるんだよね。

 

ああああー。本当にそうだなって思います。これは自分もやってしまう。その時々でいろんな場合があるのに、わりとこの図式に収めようとする。特に子どもに対しては本当に気をつけたいと思う。

 

 

 

 

気に入った箇所を抜き出してたら長文になってしまった…

最後の方には、五味さんが考えた教育制度みたいなものも提案されてます。

五味太郎さん会ってみたいな~!

 

 

 

絵本を読んでこなかった?

面白いのは、五味太郎さんあんなに絵本描いてるのに、子ども時代絵本をほとんど読んでないし絵も描いてないんだそう。芸大にも行ってない。自分の興味本意の学習だけしてきて、20代で絵本に出会って、絵本作家になろうとか思ってないままなんかスムーズにきちゃったのが絵本だったみたいです。

 

なぜかスムーズにできちゃうこと、って大事かもしれません。そこに(今は)価値があろうとなかろうと、やり方次第で価値も出てくる気がします。

 

 

 

ちなみに私、五味太郎さんと聞いても彼の絵しか思い浮かばなくて顔を知らないことに気付いた。

 

 


こんな方だそう。

http://www.ehonnavi.net/img_author/gomi_taro.jpg

(引用)http://www.ehonnavi.net/img_author/gomi_taro.jpg

 

良い顔してるよね。

 

 

 

 

ちなみに私の敬愛するミッフィーの作者、ディック・ブルーナーさんもすごい良い顔してるので載せます(笑)

 

 

http://assiston.jp/icon/face_bruna.jpg?1a0754

(引用)http://assiston.jp/icon/face_bruna.jpg?1a0754

 

 

なんだこの可愛いおじいちゃん!

ミッフィー描いてたらこうなるんか!

 

 


脱線しましたすみません…

 

 


すごいのは、納得できない部分がまったくないこと。普通どんなに合う本でも、「えーそれは違うんじゃない?」という部分が1つはある。ところがこの本に関してはそれが皆無!だからこうして鼻息荒くおすすめしているわけです(笑)

 

もちろん“私にとっては”、というのは百も承知。特に教育なんて正しいものはないので、語るのは非常に難しいです。ただ、それ抜きにしても大人は読んでおく価値がある本だなと思います。

 

特に教育関係者にはもちろん重要。現場にいると学校制度や既存のペースに飲まれて、「勉強ってなんだっけ?」「この子たちに必要なことはなんだろう?」という大切な部分を忘れがちになると思います。

正直学校現場で実践しにくいことも書いてあります。ですが、全部やれなかったとしても、その視点を持っているだけで対応は変わってくるはずです。是非一度読んでみてください。