続きです。
残念ながら、校内での写真・ビデオ撮影は不可だったので、写真はありません。
文章から想像力を膨らませてくださいませ(途中私の下手ウマなイラスト有)。
▼1枚だけ(バス停から見た校舎)
3階建の校舎でそんなに大きくはありません。
これプラス、もう1つ2階建の新校舎があって、そちらは小規模なホールといくつかのお部屋。
シュタイナー学園の壁や天井、カーテンの工夫
学校内のどこか温かい雰囲気は、壁やカーテンの色にあると思います。
すべて淡いパステルカラーなんです。
そして壁は…
漆喰(しっくい)!!
キタコレ
1ヶ月前に天井に漆喰を塗りまくった私にとっては、大好きな素材です(笑)
味が出るし、本当に明るくて開放感のある空間になるんですよ〜♪
各教室だけではなくて、玄関から廊下、トイレに至るまで(漆喰ではなくペイントの部屋もありますが)全部何かしらのパステルカラーに塗られている。
それだけで、どの空間にいてもなんとなくほわっとした気分になる。
壁の上の方が黄色い漆喰で、下の方がオレンジ色の漆喰に切り替わってる場所があって面白かったな〜。グラデーションのようにもわ〜んと切り替わってて、いつかうちでもやってみたい(笑)
カーテンもたいていはホワイトではなく、無地のパステル色でした。
あと、金属のよくあるロッカーってあるじゃないですか。掃除用具とか入れてるやつ。(こういうやつね↓)
ああいうのにも大きな布の目隠しがしてある箇所があったのが印象的でした。
丸ごと存在を消すくらいの勢いで隠してあって、「あぁ〜そういうインテリアもありだな」って思いました。
保育系の本に書いてあったことなんですが、小さい子どもが遊びに集中してるとき、その子の周りに保育士さんがそっとついたてを置く場合があるんですって。
他のものや周りで遊んでいる子がいると集中できないことがあるから。気が散ってしまって、自分のしたい遊びが中断されがちな場合にそうするとか。
どんなに騒がしい環境でも集中できる子どももいるけど、やっぱり視界には何かしら他のものが入っているし、耳からも音は拾っているんですよね。
子どもの荷物のロッカーにも大きな布が丸ごと全体かかっていて、置いてあるバッグなどが見えないようになっていましたよ。
子どもがいろんなものに興味を持つこと、生活用品や家具・家電に興味を持つこと自体を避けているというよりは、今やっていることに集中する、という意味合いだと思います。
厳かな雰囲気の人形劇
10分間の人形劇が3回上演されました(内容は3回とも一緒)。
- 3歳以上が対象
- 途中退出はできない
ということで、娘はまだ2歳ですがたぶん大人しく見ているだろうということで入れてもらいました。
写真不可なものですから、ここからは私の下手ウマなイラストで(笑)
部屋に入ると、子どもたちが前に座って「何が始まるんだろう」と緊張気味。
前では女性が2人、低めの台の横に立て膝で座っていました(壁の色もこんな色)
台には白い大きな布がかけられている▼
「これから始めます」とかの言葉はなくて、ただ扉が閉まって女性の一人が小さなグロッケンを鳴らすのが始まりの合図。
こういう手のひらサイズのグロッケン▼
その後、白い布がゆっくり外されると、小さな舞台が出てきます▼
本物の枝で作った小さな木とお家。フェルトで作ったカモや猫、ロバ、牛、小鳥などの登場人物。
右の女性が、お話をしながらお人形たちを動かしていく。
ストーリーは寓話っぽい感じだったかなぁ。“一人一人に良さがあるんだよ”というメッセージがあったように思いました。
おしまいも、小さなグロッケンを鳴らして白い布をかけて静かに終わる。
拍手などはしませんでした。劇をしてくれた女性が部屋の扉を開けて「気をつけておかえりください」と言うので、みんな余韻に浸りながら部屋を出ていく感じ。
とにかく何から何までが静かで丁寧。
まるで茶道の世界のようです。
よく児童館とかでやってくれるパネルシアターとか人形劇とは全然違う。
子どもたちも、その雰囲気に気圧されてじっと静かに見つめている、といった風でした。
託児付きの入学・転入学説明会
実際にどんな風に入学するのか知りたかったので、1時間ほどの入学説明会にも参加しました。
シュタイナー学園は、親が熱心に調べて来る場合が多い。だから子どもが小さいうちから下調べに来ているご家庭も多く、説明会には保育が付いています。
事前にホームページから申し込むこともできますが、していきませんでした。私は午後の大人向けの催しにも託児を頼んでいたので(そちらは事前に申し込んだ)、2コマも受け入れてもらえるのかわからなかったからです。受付で聞いてみたところ、快く受け入れてもらえたので、当日説明会の申し込みをしました。
入試がどうだとか、学費がどうだとか実際的な説明というよりはシュタイナー学園の歴史、どのような特徴があるか、3人子どもを通わせている親からの話がメイン。
簡単にひたすら箇条書きにします。
シュタイナー学園の歴史
- シュタイナー学園(元東京シュタイナー・シューレ)は今年で30年。
- 最初は8人の生徒でスタート。
- どんどん生徒数が増えていき、場所も移転を繰り返す。
- 学籍は公立に置きながらシュタイナー学園に通うので、公立の小中学校では不登校扱い。それでも成績を出してもらうようお願いをしなければならなかった。出席していないしテストも受けていないので、評価は0とか1になってしまう。
- ↑の問題から、2005年学校法人化する。
- 2012年に高等部も学校法人化し、ようやく12年一貫の認可された学校になる。(日本には2校だけ)
- 親と教師で話し合いを重ねて作って来た学校。何か決めるときはいちいち時間をかけた話し合いをする。
- 学校経営者という存在がいない(トップダウンではない)。学校経営のプロがいないため良い面と悪い面があるが、とにかく子どもたちへの質の高い教育を目指し、無私の心で運営してきた。
教育の特徴
- 教科書がない
- テストがない
- 成績がない(先生が生徒の頑張りを詩にして渡す)
- 担任は8年間変わらない
- 子どもたちの生まれ持つ芸術への衝動を大事にしている。
- オイリュトミー(音楽と言語を体の動きで表す)
- 水彩(色の性質)とフォルメン素描(文様・形の持つダイナミズムを感じる)
- 園芸に力を入れている
- 手の仕事(編み物、刺繍、人形作り)
- 工芸(水、粘土、金属などの素材と出会う)
- エポック授業(たとえば8:45~10:10まで連続した1つの科目を数週間にわたり学習する)
もっと書くことはたくさんたくさんあったと思うのですが…
娘が保育でギャン泣きしている声が、説明会の部屋にまで聞こえて気が気でなかったので、正直集中できませんでした(T T)
ちょうどお腹が減って眠かったようで、保育士の皆様大変お世話になりました。。
カフェや物販
小さいですがカフェコーナーもあり、天然酵母のパンや野菜のスープがありました。持ち込みのお弁当も可。
生徒の出し物として焼きそばや玄米団子もあり、売上金は卒業旅行の資金にするとのこと。その他、コーヒーや洋菓子、藤野の地域の野菜などが売られていました。
神奈川県 藤野という場所
藤野という地域はちょっと面白い地域で、実は私たちも1年前物件を見に行ったことがあるんです。芸術家も多く暮らす土地だそうで、面白いことをしている人がたくさんいる。
相模湖の先なんですが、東京駅から中央線直通で1時間ほどで行ける。
京王線の高尾からは15分くらいなんですよね。そこからまたバスに乗りますが、ありえないほど遠いっていう場所ではないんです。
シュタイナー関連の書籍やおもちゃの販売
物販として、シュタイナー教育に関連するおもちゃや書籍の販売もありました。
- 蜜ろうクレヨン
- 手作りの布製クレヨンケース
- 蜜ろうねんど
- 木のおもちゃ
- フェルトの人形
- 太めの色鉛筆
- オルゴールボール
- 毛糸
- 布
- ミニ機織り機
などなど。
デジタルな音の出るものや激しいデザインや用途のものはなく、自然で優しいものばかりでした。プラスチック製のものもなかったんじゃないかなぁ。たいていは木で出来ていましたから。
そういえば小さい頃リリアンってやったなぁ。
私が持ってたのプラスチックだったけど、これが売ってました▼
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可愛いし手に馴染みそう。
大人のための体験授業
こちらは午後の催しで、託児付きだったので事前にホームページから申し込んで行きました。
前日に確認したら予約が一杯になっていて、当日はキャンセル待ち。申し込んどいてよかった〜!
3種類あって、
- A「国語:漢字の導入」
- B「算数:度量衡≪はかる≫」
- C「劇:古事記≪をろち劇≫」
どれも興味深かったですが、一応国語の教員だったもので A をチョイス。
まずは輪になり身振り手振り
最初に、机から離れて真ん中で輪になります。
先生が「私とおんなじことをしてくださいね」と言うので、誘導されるがままに先生のマネをします。
たとえば、
『大地に土が広がっています』
(地面を手のひらでおさえて、土を感じるような仕草)
『雨がポツポツ降ってきました。…ポツ、…ポツ、』
(手を雨粒の形にして、腕を上から下へ下ろす)
『植物の種が土の中で、水を吸って温まり…』
(自分が種のように丸くなる)
『天に向かってぐーーーっと伸びていきます。ああいい気持ち』
(トトロのメイちゃんみたいに芽が伸びるマネをする)
こんな感じで、先生の誘導とともに身体で表現します。
先生のマネをすればいいので難しくはありません(「自由にやってみなさい」とか言われたら難しいけど)。
雨のリズムは手拍子で表現。
途中、3グループに分かれて
- (うん)、パン(拍手)
- (うん、うん)、パン
- パンパンパンパンパンパンパンパン…
違うリズムを叩くところもありました。
小学1〜2年生くらいだと、隣の人のリズムにつられてしまってできないけれど、小学4年生くらいは自分をしっかり持ち始めるので、他のリズムが聞こえてきても自分の担当のリズムを続けられるそう。
絵を描く
その後、机を並べて席につきます。
白い画用紙とクレヨンが配られます。
蜜ろうの四角いクレヨンです▼
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先ほど身振り手振りで表現したものになぞられた絵を描きます。
黒板に先生が一緒に描いてくれるので、それを見ながら同じように描くんです。
『水を含んだ土を、水色で描いてください』
『その中に、赤いクレヨンで植物の種を描いてください』
『緑色で、種から伸びる植物を描いてください。葉っぱはこんな風に』
やりながら一瞬、
「なんだ。自由に描けというんじゃないんだ。だったらみんな同じ絵になってつまんないじゃん」
と思ったんですが、
不思議とそうはならないんですよね。
周りを見渡すと、同じ構図でも全然違う。
私は細長い種と葉っぱを描きました。でも隣の方はまん丸のクルミみたいな種から立派な芽が出ていたんです。
色の塗り方も、私は全体的に淡ーく塗りましたが、別の方はガリガリベタ塗り。おもしろかったです。
絵が形になっていく。
そこからどんな漢字になっていくか。先生がこんな形を黒板に描きました。
『漢字になりたがってるね〜』
続いて、この形に。
ここで初めて、「あ、生きるだったんだ」と気付きました。
ちなみにこの文字の成り立ちは、別にシュタイナー独自の解釈というわけではなく、
漢字の成り立ちの第一人者である白川静さんの解釈からきているものです。
絵を描くっていうスタイルでの学びにしたのはシュタイナー的ですがね。
お話の時間
最後10分くらい、先生がお話をしてくれました。
机の上のものをしまって、カーテンを閉め電気を消して暗くします(真っ暗ではない)。
そして、ロウソクを1本立ててマッチで火をつける。グロッケンの音で始まり。
今回は古事記の一節をお話ししてくれました。
驚いたのは、先生、何も見てないんです!
え、え?全部暗唱?!?
すげー!!!!
私なんかお話聞くよりそっちの方に感心してしまって、内容どころじゃなかったです(笑)
あ、国語の先生ならそれってできなきゃダメなやつだったかな?(笑)すんませんホント…普通に無理だわ。。思えば俳優さんとかもセリフ暗記するんだよね。すごいよほんと。。普通に尊敬だわ。
あ、話戻しまして、電気を消すのは想像を膨らませるためだそうです。
そうそう。お話を考えるときって、テスト問題みたいな問いがあるから主人公の心情を考えられるようになるわけじゃないんですよね。
ただただ想像して、その世界に入り込むことができるからわかる。というのがある気がします。
だから「このとき主人公はどんな気持ちだった?」とか答えさせるんじゃなくて、ただお話をしてあげればいい。それだけでいいんじゃないかと思うんです。
先生の問いに答えられるかビクビクしながらお話を解釈するより、じっくりとただ耳を澄ましてお話の世界に入り込む。贅沢でいいなぁ。
1時間の体験授業だったので駆け足だったそうですが、こんな風に授業しているそうです。
本当はオイリュトミーやオーケストラの発表も見たかったんですが、娘が限界そうなので辞めました。 娘のように小さな子どももたくさん来ていましたよ。授乳室やオムツ替えの部屋もあるので安心。
ただ、行き帰りのバスが若干混みます。近隣の方は車で来ていましたね。
えーっと、またしても長くなってしまったので、『シュタイナー学園に行って見て、私がどう思ったか』は次の記事に持ち越したいと思います。