mimoza note

八丈島に住む刺繍作家Mimoza SHOJIのブログ。

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八丈島に自生するオオタニワタリ(アスプレニウム)を刺繍する。

1月から2月にかけてオオタニワタリを刺繍していた。


オオタニワタリは八丈島に来てすぐ、なんだこれはと思った植物のひとつ。
岩と岩の間、木の幹の途中や根元に、放射状の葉の植物がいる。
寄生しているのかと思ったが、本体の養分は吸ってなさそう。
「着生する」というのだそうだ。


葉がすごくデカい(というか長い)。
立派なものだと1mくらいはあるんじゃないかな。
葉の輪郭はちょっとうねうねしていて、それもなんとも言えず素敵。
ネットで調べたら観葉植物としても人気が高い。
そうだよね〜こんな素敵な植物、家の中にあったら最高よね。
八丈島には普通に生えてるのだけどね。




ツヤツヤの葉っぱなのだけど、裏をめくって見ると茶色い縞々のラインが無数にある。
以前ビジターセンターの植物公園ガイドツアーに参加したとき、
「この茶色い部分から胞子を飛ばして増えます」とおっしゃっていたような。
それ以来、植物の葉の裏をチェックするクセがついたが、シダ科の植物はそういうタイプが多い気がする。
触ると確かに粉が着く。

枯れた葉は下に垂れ下がる。

ちなみにこの葉は食用にできるらしい。
新芽だけかな?ともかくオオタニワタリを検索したら、やたらレシピがヒットした。
炒め物や天ぷらにできるのだそうだ。





さて、今回の刺繍で一番大変だったのは、実はオオタニワタリではなく隣の岩。


八丈島は道路に面して石垣になっているお宅が多い。
石垣はたいてい溶岩石(八丈富士は活火山)。
こんな大きな溶岩石どうやって運んだんだろう?というような大きな、そして形も妙に見事な塊がずらりと並んで積まれている。
そのためダイナミックな印象を醸し出したお庭が多いのだが、その石垣にはやはりオオタニワタリがいる。
溶岩石のあの凸凹した窪みに土や雨水が溜まりやすいのだろう。
それを好んで胞子が飛んで来て、ちゃっかり着生している。


オオタニワタリといえば溶岩。
このセットは外せない、と思って今回も刺繍に取り入れた。




がしかし、石なんてモチーフを刺繍するのは初めてで、糸の向きをどうして良いかわからない。
ランダムかと思えば一定の規則性もありそうな。。
と思ったら凸凹ゴツゴツ。


そうだ、オオタニワタリのくっついてる岩ってたいていジメジメした場所にあるやつで、苔もむしてるのよね〜
岩の表現の難しさは苔でカバーしちゃえばいいんじゃない♪
と、上から1mmほどのステッチで細かいグリーンの苔を重ね始めた。


あまりに地味な作業。。

…そしたらこの点描がまー細かくて細かくて!!
おまけに布を丈夫にする性質も加わって、刺し重ねる度に指が痛くなり。
自分で始めたにも関わらず、最後の方は苦痛を味わった。
苔だけで15時間くらいかかったかも。



無事額装。
こちらは今週末2/18,19に富士中学校で開催される『P連作品展』に持っていく予定。
P連作品展とは、島内の小中高のPTAの作品を集めた展覧会。
絵画や手芸、木工、クラフト、写真、陶芸など幅広く展示される。
コロナで2年ほど中止になっていたので、実は久しぶりの開催。

他にも、ここ2年ほどで制作してきた刺繍絵画を8点ほど飾る予定。
よろしければぜひ。